日経新聞によると、2016年11月21日、自民党と公明党の税制調査会がそれぞれ総会を開き、本格的な議論がスタートしたとのことです。今回、一番注目を浴びているのが配偶者控除の見直しです。その陰で、シングルマザーの控除拡大というのも実は論点に上がっていたようです。ただ、今回は見送りの可能性が高いようです。
配偶者控除の見直し
こちらは話題性のあるニュースということで、何度か記事にも書きました。
8月末には「配偶者控除を廃止して夫婦控除を導入、所得控除から税額控除へ転換?」といった論調でした。
これでは専業主婦世帯が増税になってしまうということで、今度は103万円の壁を130万円か150万円にするということで、一転して配偶者控除が拡大の方向となりました。財源の問題もありますので、配偶者控除に制限を設けることが検討されているとのことです。
ただ、来年夏に東京都議選を控えているので、所得制限の導入には慎重な声もあるようです。また、配偶者控除の所得制限を130万円とすると、社会保険料の負担が増加する「130万円の壁」と被りますので、130万円の案は就労促進の効果が見込めなくなるという懸念があるとのことです。
以前は、配偶者特別控除を活用するというニュースもありましたが、どうなったのでしょうか。
この配偶者控除見直し、日経新聞によると、実現へ向けて調整中とのことです。
シングルマザーへの控除拡大、寡婦(寡夫)控除が見直される?
寡婦控除とは?
シングルマザーを支援する制度としては、寡婦控除があります。寡婦控除とは、下記のいずれかの要件を満たした場合に27万円(一定の場合は35万円)の所得控除を受けることができる制度です。
- 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
- 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
所得控除額が35万円になるための要件は、下記の通りです。
寡婦に該当する方が次の要件の全てを満たすときは、特定の寡婦に該当します。
- 夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
- 扶養親族である子がいる人
- 合計所得金額が500万円以下であること。
小難しい感じですが、シングルマザーに当てはめると、次のような方が寡婦控除の対象になります。
夫と死別したか、離婚し、その後再婚していなく、自分の収入で子供の面倒を見ている(親などの扶養に入っていない)シングルマザー
さらに、合計所得金額が500万円以下であると、所得控除額が35万円にUPします。合計所得金額というのがピンとこないところですが、これは給与収入のみであれば約689万円の給料に相当します。
ここで着目してもらいたいのは、「夫と死別したか、離婚」というところです。つまり、寡婦控除の要件を満たすには、法的に結婚している必要があるのです。未婚の母としてシングルマザーになった方は、この寡婦控除を受けることができないのです。
なお、この寡婦控除は子育てが終わり、子供が独り立ちしても、合計所得金額が500万円以下であれば適用を受けることができます。
寡夫控除とは?
ちなみに、シングルファーザーに対しても、所得税では寡夫控除という27万円の所得控除が受けられる制度があります。
ただし、所得税は寡夫に対してはちょっと冷たいです。シングルファーザーが寡夫控除の適用を受けるための要件は、以下の通りです。
寡夫とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。
つまり、シングルファーザーの場合は、シングルマザーの要件にプラスして、年収が約689万円を下回っていなければ寡夫控除の適用は受けられないのです。そして、所得控除額は27万円のみで、35万円になることはありません。
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【編集後記】
今日はfreeeとMFクラウドの比較記事を書こうかと思っていましたが、「freee MFクラウド 比較」で検索すると、とても参考になる記事がたくさん出てきました。あまりに素晴らしい記事が多かったため、急遽ブログのネタを毎度お馴染みの税制改正ニュースへ変更。しかし、論点多すぎなので、今日は寡婦(寡夫)控除に焦点を当ててみました。
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また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。
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