【2017年度税制改正大綱】役員報酬の手取額を毎月同額にしても定期同額給与でOK!

平成29年度税制改正
Courtany / Pixabay
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2016年12月8日公表の与党税制改正大綱によると、2017年度税制改正により、役員報酬について、利益連動給与、事前確定届出給与、定期同額給与の見直しが行われるとのことです。これらの見直しのうち、利益連動給与、事前確定届出給与は主に大企業向けの改正になりますので、中小企業でも活用の可能性のある定期同額給与の見直しについて、ご紹介します。

定期同額給与とは

法人の経費となる(損金算入される)給与

法人が役員に対して支給する退職給与以外の給与のうち、主に下記に該当するものについて、経費とする(損金算入する)ことができます。

  • 定期同額給与
    詳細は後述
  • 事前確定届出給与
    所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、その定めを所轄税務署長に届け出ているもの。
    届出書の提出期限は、(1)、(2)のいずれか早い日。
    (1) 株主総会決議日から1月を経過する日
    (2) 会計期間開始日から4月を経過する日
  • 利益連動給与(上場企業向け)
    同族会社に該当しない法人が業務執行役員に対して支給する利益に関する指標を基礎として算定される給与

このような制限が設けられているのは、役員報酬の決定権を有する役員が、自身の給与を故意に変動させて、法人税額を調整するのを防ぐためです。

例えば、3月決算の法人の3月の利益が300万円だったとしましょう。もし、上記のような制限がなければ、3月に役員賞与を300万円を払うことで法人税をゼロにすることができてしまいます。そこで、法人税法ではこれを防ぐため、事前に届け出のない3月の役員賞与は経費として認められないのです。

ただし、所得税は3月分の役員賞与300万円全額が課税対象になってしまうので、法人税と所得税の両方が課税される二重課税状態となってしまいます。

定期同額給与とは

定期同額給与とは、下記の給与をいいます。

その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの

例えば、代表取締役社長に対する役員報酬を月額100万円と決めた場合、その事業年度を通してその代表取締役社長に対する役員報酬を月額100万円とする必要があり、100万円を上回ったり、下回ったりした場合には、一定の金額が経費として認められません。

ただし、下記の給与の改定があった場合には、(1)その事業年度開始の日~改定直前の支給時期、(2)改定直後の支給時期~その事業年度終了の日までの支給額が同額であれば、定期同額給与となります。

  • 通常改定(原則、事業年度開始日から3月以内の改定)
  • 臨時改定事由による改定(役員の職制上の地位の変更(専務取締役から代表取締役社長へ昇格したなど)、職務内容の重大な変更があった場合など)
  • 業績悪化事由による改定(経営の状況が著しく悪化した場合など)

例えば、3月決算法人の専務取締役の従前の月額役員報酬が100万円で、下記の事象が起こったとしましょう。

  • 前年度の会社の業績好調により、6月の定時株主総会により専務取締役の役員報酬が月額120万円へ増加
  • 2017年12月に代表取締役社長に不慮の事故があり、専務取締役が代表取締役社長へ就任。職制上の地位の変更に伴い、2018年1月から役員報酬が150万円へ増加

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この場合、7月の役員給与の変更は、通常改定に該当し、1月の役員給与の変更は臨時改定事由による改定に該当しますので、定期同額給与に該当します。

もし、1月からの給与の増額が業績好調のためであり、職制上の変更がない場合には、下記の金額が法人の経費には該当しません。

(150万円-120万円)×3月=90万円

逆に、2018年1月に業績不振で役員給与が減少した場合には、どうなるでしょうか。

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業績悪化改定事由に該当すれば、役員給与は全額損金に算入されます。

しかし、業績悪化改定事由は、著しい経営状況の悪化でないと認められず、単に予算に到達しないからといったような場合には、定期同額給与とは認められません。

その場合、下記の金額が損金不算入となります。

(120万円ー50万円)×6月=420万円

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給与の額面金額が毎月同額の場合(従前の定期同額給与)

従前は、役員報酬の額面金額が毎月同額であるものが定期同額給与と考えられていました。

例えば、役員報酬の月額が50万円とすると、給与の手取額は下表のとおりとなります。

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※ 所得税は扶養1名、住民税は適当な金額にて作成

給与の額面が同じ金額であっても、下記の原因により、手取り額は毎月のように変動してしまいます。

  • 4月に健康保険料の料率変更
  • 6月に住民税の特別徴収額が変更
  • 7月に住民税の特別徴収額が変更
  • 10月に厚生年金保険料の料率が変更
  • 12月に年末調整により所得税額を調整

給与の手取金額が毎月同額の場合(2017年度税制改正により定期同額給与に追加)

2017年度税制改正により、定期同額給与の範囲に、下記のものが追加されることとなりました。

税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額である定期給与

上表のケースであれば、下表のように手取り額を40万円と同額として、定期同額給与の要件を満たすことが可能になります。

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外国人を役員としている会社は、手取保証をしていることも少なくなく、これにより恩恵を受けることになるでしょう。

日本語が読めない(読むのが難しい)外国人の方にとっては、日本の社会保険料や税金のことを調べるのは困難ですから、給与の額面よりも手取り額がいくらになるかということを保証してほしいですからね。

なお、手取り額を一定とするためには、エクセルでゴールシークの機能を使うことで、求めることができます。

社会保険料や所得税には算式を入れ、住民税は確定額を入力することで、必要な給与の額面金額を算定しましょう。

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【編集後記】

日曜日、スイミングスクールの選手コースで週3~4日泳いでいる娘の自主練習の付き添いで、東京都北区の元気プラザへ行きました。運動不足解消のため、一緒に泳井田のですが、最初の125m泳いだ時点で全身だるくなり、酸欠で頭が痛くなり、喉も乾いてしまいギブアップ寸前に…。プールサイドで少し休んで、水分補給をして、5分後に再びプールへ。今度は、疲労を貯めないよう力を抜き、効率的に泳ぐことを心掛けました。すると、だんだん泳ぎ方が効率的になってきたようで、娘についていけるようになりました。

泳いだ時間は1時間半。こんなに泳いだのは、小学5年生のスイミングスクールに通っていた時以来です。次の日の朝までは、やや筋肉に張りがありましたが、特に筋肉痛になったわけでもなく、ダイエットにちょうど良い運動ができました。

【週末の一日一新】

スギ薬局でのど飴、清掃用具を購入舎人公園で凧揚げ

元気プラザで娘とプールで泳ぎまくる

越谷レイクタウンの天ぷら屋さん

服部文祥のサバイバル登山入門の本を購入

マグロの目玉を食べる

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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

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コメント

  1. 中小企業ナビ » 定期同額給与が手取り同額で、損金算入可能に より:

    […] 林義章税理士事務所 […]

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