2018年度税制改正により、法人税の申告書への自署押印制度は廃止されました。
しかし、それでもなお申告書にサインしてハンコを押すという自署押印が必要なケースがあるようです。
自署押印制度の廃止
法人税の申告書を書面で税務署へ提出する場合、旧来、社長などの法人の代表者が自分の手でサインして、ハンコを押さなければなりませんでした。
しかし、2018年度税制改正により、法人税法の規定からこの自署押印制度の規定が削除され、代表者名を記名(申告ソフトでの入力やハンコ)で済ませてもよいことになったのです。
この制度の適用開始は2018年4月1日以後終了事業年度からです。
ちなみに、税制改正前の自署押印制度については、下記リンクの通りです。
自署押印しないといけないケース
この自署押印制度の廃止ですが、あくまでも法人税法の規定の話であり、実は、税理士法には自署押印制度が残っています。
法人税の申告書を会社の代理人である税理士が作成して書面で税務署へ提出する場合、税理士の自署押印だけではなく、会社の社長などの代表者の自署押印が税理士法で定められています。
この規定は、今回の税制改正で特に変更されることなく、そのまま残っています。
つまり、税理士が法人税の申告書を作成して書面で税務署へ提出する場合には、今後も社長が申告書に手書きでサインして、ハンコを押す必要があるのです。
自署押印しないためには
すると、困るのが数十社、数百社といったようなたくさんの会社の社長になっている方のサインをいかにしてもらうかということです。
(そんなたくさんの社長をやっている社長ってどんな社長だ!?と思われるかもしれませんが、不動産の1物件ごとに会社を作っているといったように投資先ごとに法人を作るといったことがあるので、こういったこことが起こりうるのです)
現実的には、自署押印制度が廃止される前から申告書作成ソフトで印字していたということが多かったようです。
(決算公告義務があるにもかかわらず、多くの株式会社が決算公告をしていないのと同じように。)
だから、これまで通りパソコンで入力でいいじゃん、と言われると困ってはしまうのですが、遵法精神旺盛な税理士である私からすれば、
電子申告で代理送信すればいい
ということです。
電子申告では、会社の代表者の電子署名の省略が認められており、合法的に税理士の電子署名のみで法人税の申告書を提出できます。
書面での申告書の提出、これを機に止めてみてはいかがでしょうか。
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【編集後記】
ペーパーレス化推進の私は、申告書はいつも電子署名です。
手書きで署名する機会はほぼありません。
しかし、今日のアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金委員長の共同声明への署名のシーンをテレビで見て、
「パフォーマンスとしての署名ってやっぱり大事だな」
と感じました。
ニュースで、
「本日、両国首脳がSkypeで対談し、共同声明に電子署名しました」
ってやるわけにはいかないですからね。
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