1月になると、12月の年末調整で確定した所得税を納めることになります。従業員10人未満の小規模な会社では、7月~12月の所得税を1月20日までにまとめて払うというところが多いことでしょう。そして、その納付が終わると、会社にとっては税金を払う手続きは完了しますから、「これで、今月の税金のことでやるべきことはすべて完了!」と思ってしまいがちです。
しかし、1月はまだまだやることが残っています。1月末が期限の税務手続きがあと3つもあるのです。
- 法定調書の作成及び提出
- 給与支払報告書の作成及び提出
- 償却資産税の申告
法定調書の作成及び提出
法定調書とは
法定調書とは、何でしょうか。国税庁のホームページによると、下記の通り書かれています。
法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。
(国税庁ホームページより引用)
ん?ちょっとピンときませんね。
ポイントは、「提出が義務付けられている資料」です。どんな資料の提出が義務付けられているかというと、給与、報酬、家賃、賞金などの「支払」に関する資料(「支払調書」など)を提出するのです。
例えば、所有している土地を駐車場として会社に貸したとします。すると、借りた側の会社は、「不動産の使用料等の支払調書」を税務署に提出します。そのため、仮に地主がその収入を隠して申告していなかったとしても、税務署は「不動産の使用料等の支払調書」を確認することで、その地主が脱税していることを発見することができてしまうのです。
主な法定調書
小規模な会社が一般的に提出するのは、下記の法定調書です。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
1の源泉徴収票は、給与を支払った従業員全員の分を出すのではなく、一定の収入を超える役員・従業員のもののみを提出します。
役員分については、年末調整をしている場合で150万円、していない場合で50万円を超える場合に提出が必要になりますので、基本、役員分は提出するものと考えてよいでしょう。
3の支払調書は、顧問税理士に年5万円を超える報酬を支払っていれば、作成します。とはいっても、顧問税理士がいれば、その顧問税理士が作成することになりそうですが(^-^;
4の不動産の使用料等の支払調書は、賃貸している事務所の家賃や駐車場の地代などです。貸主が法人の場合は、権利金や更新料等を支払った場合のみ、提出が必要です。
マイナンバー
今年の留意点は、やっぱり、マイナンバーです。
- 源泉徴収票は給与ソフトですでにマイナンバー対応で作成済み
- 税理士報酬の支払調書は税理士が(勝手に?)マイナンバーを入力して作っている
というところで、うっかりしがちなのが大家さんへ支払う地代家賃に関する支払調書ではないでしょうか。
そもそも、税理士などへの報酬と違って、源泉徴収していないので、うっかりマイナンバーを教えてもらうのを忘れてしまいそうになります。
でも、下の支払調書のフォームを見てください。バッチリ、マイナンバーの欄があります。
では、マイナンバーの提出を拒否されたらどうすればよいのでしょうか。
まずは、法律で定められた義務であることを説明して、提供を求める必要があります。ただ、それでも、取得できなかったら、提供を受けられなかった経緯などを記録して保存しておけばOKです。
マイナンバーの記載がなくても、税務署は受領してくれます。
給与支払報告書の作成及び提出
給与支払報告書とは
こちらは、地方自治体に提出する源泉徴収票とほぼ同じ形式のものになります。給与ソフトで源泉徴収票とセットで印刷されるものです。
役員・従業員の住んでいる自治体に対して提出することになります。
こちらは、税務署とは違い、すべての役員・従業員のものを提出します。この給与支払報告書などに基づき、6月以降の住民税の特別徴収の額が決まります。
マイナンバー
源泉徴収票と同様に、マイナンバーの記載が必要になります。源泉徴収票との違いは、16歳未満の扶養親族のマイナンバー記載欄があることです。
eLTAX
詳細は割愛しますが、非常に使いづらいです。私は電子申告推進派ですが、給与支払報告書の提出については、小規模な会社であれば紙で提出したほうが圧倒的に早いし、楽です。
償却資産税の申告
固定資産を所有している事業主は申告が必要
土地や建物に対しては、固定資産税がかかるというのは、馴染みがあると思います。しかし、固定資産税がかかるのはそれだけではありません。個人事業主や法人の場合、その保有している土地や建物以外の固定資産の課税標準額が150万円以上の場合には、その土地や建物以外の固定資産についても、固定資産税を払う必要があります。
土地や建物については、地方自治体の方で把握し、納税者側で土地や建物の固定資産税に関する申告をしなくても、固定資産税が課されます。
それに対して、それ以外の固定資産はというと、その年の1月1日時点の土地や建物以外の固定資産を1月31日までに申告をしなければなりません。これが、償却資産税の申告です。
申告をしてもすぐに納税するわけではなく、6月頃に納税通知が送付され、通常年4回に分けて納付します。
ビルのオーナーは特に申告が必要!
ビルを建てたら、そのビルはすべて建物として地方自治体が固定資産税を計算してくれるので、申告不要と考えてると大間違いです。
地方自治体の固定資産税の担当者は、償却資産税として申告されるものをちゃんと取り除いて固定資産税を計算してくれています(担当者がミスしない限り)。
そこで、償却資産税の申告をしていないと、「あれ?あそこのビルは償却資産税の申告をするはずなんだけどなぁ」ということで調査が来ることになります。
まとめ
つまり、今回何が言いたかったかというと、税理士は1月20日納付の源泉所得税が終わっても、1月末まで結構忙しいのです。
税金の納付はありませんが、法定調書、支払報告書、償却資産税と、地味ながらも仕事をしているのです。
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【編集後記】
昨日、皇居ランデビューしました。初めての皇居ラン…と思ったら、走っている途中に思い出しました。実は、中高生の頃、部活の年始の練習初めに学校から皇居まで走っていました。
しかも、野球部の練習用ユニフォームで。。皇居の外国人観光客に写真撮られたり、日本武道館の前で大きな声を出して筋トレをやったりといった、恥ずかしい過去を思い出しました。当時(もうすでに20年以上前)は皇居の周りを走っている人は誰もいませんでした。
あの頃はいくら走ってもすぐに回復したのになぁ、と思う今日この頃です。
【一日一新】
皇居ランデビュー
神保町食肉センター
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