独立して意識が高まったのは、報酬の支払時期です。前払いがいいのか、サービス提供時がいいのか、後払いがいいのか。支払う立場のときは、後払いがいいし、もらう立場のときは前払いして頂くのがいいのは、言うまでもありません。
独立すると気になる報酬の支払時期
後払いだと支払がないとタダ働き
会社員時代は、基本的には報酬は後払いでしたが、お客様からの報酬の入金については全く気にする必要はありませんでした(そもそも、入金の情報に触れることすらできなかったのですが)。
請求書を出すところまでが仕事でした。そして、入金があったかどうかにかかわらず、私自身は給与をもらうことができたので、入金があるかどうかは私には関係がない出来事だったのです(貸倒れになるようなお客様がそもそもいなかったのですが)。
しかし、独立するとそういうわけにもいきません。後払いの場合、請求書を出しても入金されなかったら、タダ働きをしたということになります。雇用されている立場であれば最低賃金が保証されますが、独立した事業主であれば、だれも保証してくれません。回収するしかないのです。
そして、その回収にはいろいろとコストがかかります。
- 督促に充てる時間や電話代・督促状などの通信費
- 自力で回収が難しい時の弁護士費用
売っているもの自体の単価が100万円以下の場合、弁護士をつけて回収しても弁護士報酬で利幅が大幅ダウンし、赤字になること間違いなしです。少額債権の回収は、手間とコストがかかることから、回収を諦めることも多いようです。個人的には赤字云々関係なく、払うべきものを払わないというのは許しがたく、いかなる手(もちろん合法的な手法のみです)を使っても払わせるべきと考えています。
そして、回収が出来なくなくなるかもしれないというのは、本当に嫌な気持ちにさせられます。そういう気分を味わうだけで本当に大きな損失です。
仕事をする側からすれば前払いがいいけど払う側はリスクがある
後払いだと払ってもらえないリスクがあります。飲食店であれば、食い逃げされてしまうかもしれません。
事前に食券を買うなど前払いであれば、食い逃げされるリスクはなくなります。
しかし、仕事を発注する立場から考えれば、仕事が完了しないのにお金を払うのはリスクがあります。
私は1年以上前に友人のテーラーにオーダーメイドのスーツを発注しました。大学生の頃はよく一緒に飲みに行ったこともある友人だったので、信頼して前払いで料金を支払いました。オーダーメイドなので、前払いが一般的なのでしょうし。
1か月後くらいに仮縫いが終わるのでそのときにまた来てほしいと言われていたのですが、待てども連絡はきません。そして、こちらからLINEやFacebookで連絡しても返信がなく、電話をしても繋がることはありませんでした。
残念なことですが、未だに連絡はとれず、当然のことながらスーツも受け取りができていません。
お金を前払いする以上、その分きちんとサービスの提供を受けることができる信頼があるというのが大切です。
ですから、私のように1人で事業を行っている場合には、仕事の実績を積むとともに、人となりについても理解していただき、信頼をして頂かなければならないな、と痛感させられた出来事でした。
サービス提供時のお支払い
私は、税務顧問を引き受けさせていただくとき、当月分は当月払いを基本としています。
サービスの提供とお金の流れが一致していますので、経理処理のときに「前受金」や「売掛金」の残高が残ることがないので、管理が楽になります。
そして、サービスを提供するときに未回収のリスクがなくなります。お客様からしても、お金を払ったのにサービスが受けられないかもしれないという心配もなくなります。
前払いや後払いをうまく使い分けよう
現状は当月分当月払いを基本としている私ですが、税理士会のお仕事や出版のお仕事などの場合は、当然、後払いです。
そして、前払いでと思うのが、ネット申し込みの場合です。事前準備などでコストがかかりますから、申込だけして無断キャンセルとういう事態を防ぐためには前払いにしておくべきなのでしょう。
後払いは好んで使うものではないのでしょうが、商慣習や相手先との関係次第で避けられないことがあります。こちらは使い分けるというよりも、後払いでも信頼できるお客様をちゃんと選んで契約することが大事ですね。
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【編集後記】
昨日は神田法人会で実務研修会の講師を務めました。法人税法の研修で、テーマは貸倒損失、引当金、借地権でした。
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※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。
また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。
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