会社が家賃を支払うとき、支払った金額をそのまま経費にしてしまうと、誤った処理になってしまいます。家賃の支払いを正しく行うには、賃貸借契約書をしっかり読むことが大切です。
事務所や社宅契約時に支払う礼金、権利金、敷金の税務処理
事務所や社宅を契約した時に、最初に支払うのが礼金、権利金、敷金です。これらは、支払額をその支払った事業年度ですべて経費にできるかというと、そうではない場合があります。
礼金や権利金を支払った場合
礼金や権利金は、通常、支払ったら返還されないものです。返還されないのだから、「経費でいいじゃん!」と思われそうですが、そうとは限りません。
返還されない礼金や権利金の経理処理でチェックしなければならないのは、下記の2点です。
- 契約期間
- 金額が20万円未満 or 20万円以上
例えば、契約期間が2年間の場合、その支払った礼金や権利金は、2年間の賃借に対する対価と考えられますから、支払時に経費にするのではなく、2年間にわたって均等に経費としていくことになります(税務上の繰延資産と呼ばれています)。
具体的には、3月決算法人で2017年6月に礼金を24万円払ったとすれば、経費となる金額は次の通りとなります。
2018年3月期:24万円×10月/24月=10万円
2019年3月期:24万円×12月/24月=12万円
2020年3月期:24万円×2月/24月=2万円
ただし、契約期間が5年以上の場合は、5年で均等に経費にすることができます。つまり、契約期間が6年であっても10年であっても、5年で均等に経費にすることが可能です。
ただ、金額が20万円未満である場合には、金額が僅少とのことで、支払った事業年度にその全額を経費にすることが可能です。
敷金を支払った場合
敷金には、返還されるものと返還されないものがあります。そこで、契約書の読み込みが必要になります。
返還されないことが契約上確定している金額については、礼金や権利金と同様に処理をします。
それ以外の返還される可能性のある金額については、将来的には戻ってくる金額、つまり、財産ということになるので、資産として取扱います。経費にはできませんので注意してください。
退去した時に修繕費等に充てられ、一部の敷金が戻ってこなくなる場合もありますが、その場合には、その戻ってこなくなることが確定した時に経費とします。
消費税の納税義務者であるときの注意ポイント
消費税の納税義務者であり、簡易課税制度を選択していない場合、支払った家賃に消費税が課税されるか否かに注意する必要があります。
社宅は非課税
消費税では、政策的な見地から、住宅については非課税としています。したがって、会社が支払う社宅の家賃については、消費税が含まれていないということに注意して、経理処理を行う必要があります。
ちなみに、会社が役員や従業員から徴収した社宅の賃料については、消費税法上、非課税売上として処理をします(申し訳ないのですが、非課税売上が何たるかは本記事では割愛します)。
事務所家賃は課税
事務所家賃は、住宅ではありませんから、消費税が課税されます。
資本金が1億円を超える場合、支払家賃は外形標準課税の対象
資本金が1億円を超える場合、その法人は外形標準課税対象法人となり、支払う報酬給与、支払賃借料、支払利息の規模に応じて事業税が課税されます。
つまり、支払う家賃も事業税の課税の対象になるのです。ただ、すべてが課税の対象となるわけではなく、管理費、水道光熱費などの共益費が対象外です。
まとめ
家賃の支払いは、請求書や通帳の引き落とし金額だけでは、税金の計算上、正しい判断ができません。契約書のチェックが欠かせませんので、ご注意ください。
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【編集後記】
昨日の夜は、美味しいお酒が揃っているBAR官兵衛にて日本代表VSシリア代表のサッカーを観戦。香川選手の怪我が心配です。
【昨日の一日一新】
山崎 LIMITED EDITION 2017
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