独立してから、税理士に不満があるという話を聞く機会が増えてきました。
- 税理士が親身に相談に乗ってくれない
- 最近、訪問してくれなくなった
- 連絡をしてもなかなか折り返しの連絡がこない
- 何も提案してくれない
なぜそのようなことになってしまったのでしょうか。
税理士側の都合から、考えてみました。
税理士への不満を税理士側の都合から考える
なぜ、お客様は、税理士に不満を持つようになってしまったのでしょうか。
税理士側の都合から考えると、以下の通りです。
- 採用難でお客様の要望に応えられるだけの能力を持った人材を採用できない
- 能力のある職員を雇用すると高い給料を払う必要がある
- 報酬を安く設定しているので、顧問先の要望に応えていると赤字になってしまう
基本的には、人材難と報酬との兼ね合いということが多いと言えるでしょう。
人材難がお客様へのサービスに与える影響
税理士事務所が人手不足に陥った時、採れる選択肢は下記の3つでしょう。
- 待遇をよくして採用活動を頑張る
- 採用は難しいので、新規のお客様を断る
- 採用は難しいけど、新規のお客様をどんどんとって、ブラック企業化
3つめの選択肢をとった時、必然的にお客様へのサービスは低下していきます。
仕事が多くて疲弊しているので、
- 訪問回数は減らそう
- 提案すると手間がかかるのでやめよう
- 問い合わせがあってもすぐに対応できないので後回しにしよう
となってしまいます。
これは、私のように一人で税理士として活動している立場であっても、同じことが言えるでしょう。
仕事を取りすぎてしまうと、お客様へのサービスが低下してしまいます。
「忙しいですか」と聞かれた時に、私は「忙しくならないようにしています」と応えています。
忙しい状態になると、その漢字が示す通り、「心をなくす」ということになりかねません。
お客様へのサービスの低下のみならず、家族との時間もとれなくなり、仕事もプライベートもうまく回らなくなってしまうでしょう。
ですから、「忙しい」という状態にならないよう、工夫が必要です。
安い報酬がお客様へ与える影響
独立した税理士がお客様を獲得するのに有効な手段の一つが、安い税理士報酬とすることです。
中には、安く見せるのが上手で、蓋を開けてみれば業界の平均の水準だったという税理士もいますが…(^-^;
安い税理士報酬だと、税理士が生計を立てるにはどのようにしなければならないのでしょうか。
例えば、顧問先1件当たりの平均年間報酬が30万円だったとしましょう。
すると、顧問先30件の場合で年間の売上は900万円となります。
経費率が50%だとすると利益は450万円となり、これが税理士の取り分となります(会社員の給料に相当)。
この30件をすべて毎月訪問し、1件当たり訪問に3時間かかるとすると、
1月の訪問に係る時間は、3時間×30件=90時間です。
そして、そのお客様が全部税理士に丸投げで領収書を渡すだけだとしましょう。
1社の入力時間の平均が3時間とすると、
1か月の入力作業に係る時間は、3時間×30件=90時間です。
つまり、お客様対応だけで最低180時間はかかります。
これに加えて、常に営業活動や税理士としての品質を保つための勉強の時間、事務所経理や請求書発行業務などの事務所内の雑務も行わないといけませんから、毎日12時間位の労働がひつようになるでしょう。
どうでしょう。
毎日12時間労働で、年間の給料は450万円。
合格までの平均期間が8年、合格率が10%強の科目を5つ合格して、最終合格にたどり着くのは約1パーセント。
そんな試験を突破して、毎日12時間労働で年間報酬450万円だったら、割に合いませんよね。
そこで、安い報酬でお客様を獲得している税理士が考えることは、1件当たりのお客様に費やす時間を減らすことです。
訪問はしないで領収書はすべて郵送ということにすれば、訪問に係る90時間が浮きます。
訪問に行かないので、当然、お客様から相談を受けることはありません。
電話やメールで相談が来たとしても、親身に対応するとコストがかかるので、受け流したくなってしまいます。
つまり、格安の税理士報酬で運営するためには、お客様の不満として挙げられるようなことをしていかないと、事務所が運営できないのです(赤字でつぶれます)。
格安税理士報酬で運営するためには、
- 訪問しない
- 相談は受けない
- 入力作業はアルバイト・パートが行う
ということをしていかないと、ビジネスとして成立しないのです。
私としては、ちゃんとお客様と対面でお会いし、経営面での悩みをお伺いし、お客様のお役に立てることは積極的に提案していきたいと考えているので、格安税理士報酬での運営は考えていません。
安かろう悪かろうのサービスの提供をするのではなく、適正な報酬でお客様に必要なサービスをきっちりとお届けする働き方をしたいのです。
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【編集後記】
昨日は、打ち合わせのため渋谷へ。
久々に渋谷へ行きましたが、やはり人が多いですね。
大学生の頃はよく遊びに行った街ですが、最近はほぼ行っていなかったため、Googleマップをみないと目的地まで辿り着けなくなってしまいました。
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