5年前の2016年8月17日、会社を退職した私は合同会社YSKコンサルティングを設立しました。
独立しても食べていけるのかという不安がありつつも思い切って会社員を辞めて独立してから5年間が経ちました。
様々な方々のおかげで、無事、会社員に戻ることなく開業税理士として生計を立てることができています。
この5年間には、嬉しかったこと、辛かったこと、残念だったこと、楽しかったこと、色々ありましたが、とても満足のいく5年間を過ごすことができたと自負しています。
そして、そのために心がけてきたことがあります。
背伸びしない
仕事で自分の会社や自分をアピールするときには、自分をよりよく魅せたいということで見栄を張ったり、ホームページで盛りすぎてしまったりといったことをやりがちです。
もちろん、見栄えをよくするということはビジネスをする上で大切ではありますが、やりすぎはよくありません。
成功している税理士に見せるために、やたら高価なスーツや時計を買ったりはしていません(もちろん、清潔感のある見た目は大事ですし、おしゃれな方がお金の使い方を傾斜配分してスーツや時計することは趣味の一環としてなのでいいと思います。私程度のファッションへの関心度合いで単に見栄を張るだけのために高価なものを揃えるというのは好まないという趣旨です)。
規模を大きくしようという野望もなく、私が自分らしく生きるために独立という選択をしました。
人から「すごいね!」と思われたい、バンバン金稼ぎしたい、社長として君臨し部下を従えて偉くなりたい、という気持ちはなく、ただただ、理不尽なことに悩まされてストレスを抱えたりすることなく、日々の仕事、生活が充実していて、自分のお客様や私の家族、そして自分自身がハッピーであればいいという思いで過ごしています。
自分がお客様にとって役に立つことができ、そしてその仕事に自分自身も充実感を感じることができることを大切にしています。
売上高、顧客数、従業員数を右肩上がりに伸ばしていって社会的ステータスを高めたいということは目標にしていません。
だからといって現状維持でいいやと思っているわけではありません。外形的な社会的ステータスを高めることではなく、現在のお客様によりよいサービスを提供できるよう、自分の仕事のスキルの向上や仕事の効率化の工夫など、日々成長していくための努力を継続しています。
その結果として、この5年間、売上高、顧客数、従業員数はゆっくりではありますが、着実に伸び続けています。
コミュニケーションツールはメールがメイン
会社員時代もコミュニケーションツールはメールがメインであり、メールではニュアンスを伝えきれないなどの場合や遠隔地のお客様との会議で電話を使い、FAXはほぼ使わない(メールなどで電子データの送付ができない税務署への書類送付やなぜかFAXでしか申し込めない研修の申込み程度)環境で働いていました。
ただ、それでも不動産投資の勧誘などの迷惑電話に仕事を邪魔されたり、社内での内線電話で日中は自分の作業が進まなくて残業せざるを得ないなど、電話で悩まされることも少なくありませんでした。
そこで、独立に当たっては、より一層コミュニケーションの中心をメールに寄せて電話対応を極小化すべく心掛けました。
基本、私からお客様へ電話はしないこととしています(電話をかける相手はいつも電話でしか受け付けてくれない税務署などのお役所関係)。
メールで伝えられることはメールで伝え、対話が必要な時には対面(コロナ禍以降はZoomなどのオンラインミーティング)でしっかり伝えるよう心掛けています。
特に、オンラインミーティングでは画面共有しながら説明ができるので、電話よりも何倍も伝わると実感しています。
ホームページやブログでも電話番号は掲載していません(このブログを書いている日現在)。
売上を伸ばしたい、顧客数を増やしたいというのであれば、ホームページへの電話番号の掲載は必須でしょう。
しかし、私の場合、コミュニケーションの中心をメールとしているため、マッチングという意味合いを込めて敢えて電話番号を載せていないのです。
電話は緊急時のいざというときのためにとっておいて、日頃はメールでやり取りすることがお客様にとっても私にとってもお互いメリット(記録として残る、都合の良い時に返信をすればよい(時間を拘束しない)など)があると考えています。
今はSlack、Chatwork、Messenger、LINEなどのチャットアプリが普及しており、ちょっとしたコミュニケーションをとるときに大変便利です。
ただ、やはりチャットアプリだと時間が拘束されがちであったり、記録として残しておくにはメールのほうが探しやすかったり、見やすかったりするので、大事なことはメールでやり取りするのがベストと考えています。
値段は自分で決める
出版の仕事、雑誌への寄稿などの予め基準が決まっている仕事を除き、私が提供するサービスの値段は自分で決めています。
不明瞭な料金体系は好まないので、基準を作ってホームページに掲載し、その料金表通りに契約をするようにしています。
独立したら自分の商品の値段は自分で決めるというのは一見当たり前のようではありますが、そうでないこともあります。
独立した当初は、相手(多くの場合、税理士紹介会社などの仲介に入ってる業者)から値段(モチベーションが上がらない低額)が提示され、この値段でやってくれというものに多く遭遇しました。
そういった案件には多くの場合、仕事欲しさにつけこんで激安で独立したばかりの税理士や営業力の弱い税理士に狙いを定めて声をかけているのではと思います。
早めにそういった方々とは距離をとり、自分で仕事をとって、自分で値段を決めるということをやってきたことが今につながっています。
自分の意思を貫く
独立したばかりの頃、先輩の税理士や人生の先輩の方々がいろいろとアドバイスをくれます。
もちろん、皆さん成功した方々ですので、そのアドバイスにはそれなりの価値はあるのだと思います。
ただ、それはその方にとっての成功であって、私にとっての成功ではないかもしれません。
学ぶというのは真似ることからではあるのですが、自分にとって目標にならない方を真似しても自分の理想には近づけません。
自分の目指している方向をしっかりと見据えて、この5年間過ごしてきたことが今につながっています。
独立を貫く
独立したばかりの開業当初、「うちで一緒にやらないか」と声をかけていただくことがありました。
収入への不安はありましたが、どうしても食べていけない状況に陥ってしまったら、最悪、会社員に戻ればいいと考えていたので、独立性を保つことを最優先しました。
その影響で、会計士や税理士の方から声をかけてもらっても自然消滅ということがほとんどです。
目先の売上よりも独立を保ち、他者に依存しないということを大事にしてきました。
もちろん、人間の社会というのは相互依存でお互い助け合いながら生きていくものではあるのですが、その依存の仕方も対等な立場での依存でありたいものです。
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【編集後記】
今日は税理士試験の初日でした。私が初めて税理士試験を受けたのは2001年です。当時は大学生で、かなりひどい夜型生活をしていたせいで、朝9時からの簿記論の試験に間に合うよう起きなければと前日プレッシャーになり、一睡もできないまま試験会場に行ってしまったことを思い出します。もちろん、その年は合格できず、心を入れ替えて翌年から税理士試験に取り組むようになり、翌2002年は簿記論と財務諸表論の2科目に合格しました。独立もそうですが、しっかりと取り組めばよい結果がおのずとついてくると信じています。
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