転職を繰り返すことのメリット・デメリット

仕事術
■スポンサードリンク

私は、大学卒業後に就職して税理士として独立するまでに3回転職し、4社に勤めました。務めた年数は、4年、5年弱、2年強、2年弱です。転職をすることでよかったこともあれば、苦労したこともありました。

転職のメリット

スキルアップできる

私の転職の一番の目的は、スキルアップでした。転職することで新しい仕事を行うことになりますし、同じ仕事でも会社によってやり方は違いますから、スキルアップにつながります。

同じ仕事を続けていると、自分の中でも成長の実感がなくなってきます。会社内でも異動した時や昇進した時は、仕事内容が変わりますから、成長の大きなチャンスです。しかし、同じ部署で同じポジションが続いているときは、転職することで自分を大きく成長させることが可能です。

税理士法人への転職

私の最初の転職は、資格の学校の税理士講座簿記論の講師から税理士法人への転職です。私は正社員として採用されていましたので、そのまま講師を続けることや人事異動で事務方に回ってその会社で働き続けることも可能でした。

しかし、税理士になるには2年間の実務経験が必要です。税理士になるという目標を定めている以上、この1回目の税理士法人への転職は必然でした。

税理士になるためには税法3科目の合格でよいのですが、それだけでは仕事にならないというのを実感しました。私の税法の合格科目は法人税、消費税、所得税ですが、それ以外の住民税や事業税(特に外形標準課税)の知識は実務経験を積む中で身につけました。

法人税や消費税も座学と実務では大きく違います。国際税務という分野の仕事では、中国やシンガポールの納税通知書や申告書を見ながら、外国税額控除の対象となる金額を確認したり、タックスヘイブン税制の合算すべき金額を算定したりと、異なる国の申告書や時には中国語と格闘ということも味わいました。

また、前職は消費者相手のビジネス(B to C)でしたが、税理士法人では事業者相手のビジネス(B to B)であり、仕事の環境も大きく変化しました。

上場企業の経理部への転職

2回目の転職では、東証一部上場企業へ入社し、経理部に配属されました。前職の税理士法人では、税務のみが仕事だったのですが、経理部に配属されると税務というのは経理部全体の業務のうちのごく一部に過ぎないというのを実感しました。私の仕事の領域も広がり、税務だけではなく、税効果会計(通常、税理士は一時差異の把握までが業務範囲だが、回収可能性を考慮した繰延税金資産・繰延税金負債の計算も担当することになる。しかも連結納税)や子会社の月次決算、年次決算、会社法計算書類の作成と税理法人では経験のできなかった業務を経験することができました。

そして、一番よい経験になったのは、税理士を使う立場になったことです。これまで接点のなかった国税OBの税理士の豊富な経験から学ぶことも多かったです。逆に、ある税理士法人のいい加減なアドバイスにがっかりすることもありました。

証券会社M&Aアドバイザリー部門への転職

3回目の転職では、M&Aアドバイザリー業務でFA(ファイナンシャルアドバイザー)となりました。税理士枠での採用だったのですが、思いのほか税務の仕事がなく、どっぷりとバリュエーションの仕事をすることになりました。これまではM&Aには、税務アドバイザーとして、若しくは、売り手、買い手の中の税務担当者としてという立場でしか関与していませんでしたので、新入社員に戻ったときのような(周りの仕事が全部わからない!)状況からスタートしました。

FAという立場では、M&Aのプロセスの始めから終わりまで、会社法、独禁法、開示手続きなどを意識しつつスケジュールを組んで、バリュエーションをして、価格交渉にも関与し、クロージングまでサポートするということで、視野を大きく広げることができました。

選択肢を複数持てるようになる

少し前までは新卒採用で会社に入社し、定年退職まで勤め上げるというのが一般的でした。最近では転職する方は増えてきたものの、なかなか転職は勇気のいる難しい決断だという印象があります。

しかし、一度転職してしまうと、転職に対する抵抗感が大きく減退します。転職に失敗してもまた転職すればいいや、と思えるようになります。このように考えることが出来れば、

  • 想定をはるかに上回る長時間労働
  • 入社後の待遇が想定よりも悪かった
  • 職場での人間関係が上手くいかない
  • 上司のパワハラがひどすぎる

といったことがあっても、転職によってそこから逃げることが出来るのです。

仕事が原因でうつ病になったり、最悪の場合、自殺に至ってしまうという悲しい出来事がありますが、選択肢を複数持つことによって精神的に追い込まれることが防げるのです。

給料などの待遇を上げることも可能

給料などの待遇は業界や会社、会社の業績によって異なるものです。同じスキルの仕事をしているのに、ある会社では1,000万円の給料、別の会社では500万円の給料と格差があります。

転職を活用することによって、給料を上げることは可能です。ちなみに、私は3回の転職すべてで給料をあげることができました。給料をあげるということを基準に転職活動を行えば、よぼどよい給料をもらっている場合を除き、実現可能です。

■スポンサードリンク

ただ、仕事は給料だけで選んではいけません。やりたい仕事ができるか、自分に向いている仕事か、私生活とのバランスがとれるか、過度なストレスを感じることがないか、といったことのほうが大切です。

転職のデメリット

新しい職場に新しい仕事

転職して新しい職場に馴染むのは、新卒で入社した時よりも大変です。心強い同期がいません。会社が違えば勝手が違うことばかりなので、色々と分からないことが沢山ありますが、新入社員のときのように手取り足取り教えてもらえるということはありません。

仕事の内容が同じでも会社によってやり方が違いますから、その会社に合わせたやり方を覚えなければいけません。業界が同じでも業界用語が会社によって若干異なります。

前の会社で積み上げてきた仕事に対する信頼も新しい会社ではゼロからスタートしますから、また新たに少しずつ実績を積み上げて周りから信頼を得られる仕事をしていかなければならないのです。

愛社精神がなくなる

転職を一度でもしてしまうと、転職のハードルが下がります。それと同時に、会社に対する忠誠心、愛社精神というものが低下してしまいます。

会社が苦しいとき、会社のために全力を尽くして本当に頑張れるのは、新卒採用のプロパーの社員です。また、パナソニックに定年まで勤めた方と何度かお会いしたことがあるのですが、どの方もパナソニックに勤めていたことを誇りに思っており、そこで学んだことを定年退職後の起業に生かしていきたいという意欲に溢れていました。

私はもともと税理士を目指していたこともあり、一つの会社を勤め上げるという発想がなかったのですが、そういった方と出会いますと、それだけ会社に対して愛着をもっていることが羨ましくも感じます。

出世には不利

転職組は出世には不利です。そもそも、他の会社での実績があっても、その会社ではゼロの実績からスタートしますので、新卒採用で順調に出世してきた方に貢献度で上回るのは困難です。同じ年齢の新卒採用の方よりも出世競争では下からスタートすることになります。

出世を狙うのであれば、転職の回数は少なめに抑えて、会社への貢献度を積み上げていきましょう。

住宅ローンなどで不利

住宅ローンを組むには勤続年数3年以上が必要と言われています。他にも、退職金で不利になるとは言われていますが、私の勤めていた会社はそもそも退職一時金制度がなかったり、確定拠出年金制度であったりしたので、影響はありませんでした。

まとめ

上記の通り、転職にはメリットもデメリットもあります。私自身転職を3回繰り返していますが、転職するほうがいいと思っているわけではありません。私の場合は、自分のキャリアプランの中で転職が必要不可欠な選択肢であっただけです。

幸運にも新卒で自分にあった会社に巡り合えた方は定年まで勤めるのもよい選択肢だと思いますし、不幸にも新卒で望みの会社に入れなかった方には転職というのも一つの選択肢だということを認識してもらいたいと思っています。

転職にはメリット・デメリットがありますから、それを認識した上でよいキャリアプランを描いていきましょう。

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

自分のことを書くとついつい文字数が多くなってしまいます。今日は3,000字超え。22時就寝の予定が崩れてしまいました…。

【昨日の一日一新】

郵便の再配達受付のためオペレーターへ電話(いつもは自動音声)

------------------------------

※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

------------------------------

タイトルとURLをコピーしました