会社が支払う役員報酬を経費にする(正しくは「損金に算入する」といいます。)には、法人税法上、厳しい制約が設けられています。
なぜなら、役員給与は役員の意のままに決定できるケースが多く、規制なく経費にできるようにしてしまうと税金逃れに利用されてしまうからです。
例えば、役員給与を無制限に経費にできると認めてしまうと、決算期直前に税金を引く前の最終的利益が1000万円出ている状況で、社長にボーナス1000万円払ってしまえば法人税をゼロにすることができてしまいます。
(もっとも、社長の所得税が発生するのでそれが得とは言い切れませんが)
そのため、決算期直前に唐突に決めた役員へのボーナスは、会社の経費にすることはできません。
社長への役員報酬を経費にする方法
社長の役員報酬を会社の経費にするには、主に次の二つの方法があります(上場会社であれば「利益連動給与」という手もあります)。
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
定期同額給与とは、事業年度を通して毎月同額の給与を支払っているその給与のことです。
毎月同額であれば、役員報酬を経費にすることが出来るのです。
改定のタイミングは、原則として、事業年度開始から3か月以内に1回だけ認められています。
詳細は、下記リンクで解説しています。
【2017年度税制改正大綱】役員報酬の手取額を毎月同額にしても定期同額給与でOK!
つまり、定期同額給与は、月々の給与を経費にするための要件と考えて頂くとよいでしょう。
そして、社長へのボーナスを経費にするために必要なのが、事前確定届出給与の要件を満たすことなのです。
事前確定届出給与とは
基本編
事前確定届出給与とは、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、その定めを所轄税務署長に届け出ているものをいいます。
その届出書の提出期限は、次の1、2のいずれか早い日となります。
- 株主総会決議日(業務執行開始日が株主総会決議後の場合には、その業務執行開始日)から1月を経過する日
- 会計期間開始日から4月を経過する日
3月決算、株主総会決議(6/28)によりボーナス支給時期を12月10日と翌年6月10日にそれぞれ100万円支給する場合であれば、7/27までにその旨を届け出る必要があります。
そして、その届け出通りの支給日に届出金額を支給した時に会社の経費にすることが出来ます。
支給額を増額したり、減額したりした場合には、基本的にはその支給額の全額が会社の経費とすることが出来ないのでご注意ください。
支給額の変更ができる場合
事前確定届出給与の増額や減額ができる場合は、次の事由に該当した時です。
- 臨時改定事由
- 業績悪化改定事由
臨時改定事由とは、役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更など、支給額を改定するのにやむを得ない事情がある場合の改定です。
この場合には、その事由が発生してから1月以内にその変更を届け出なければなりません。
業績悪化改定事由とは、経営状況が著しく悪化したことにより、支給額を下げざるを得ない状況をいいます。
例えば、次のような場合をいいます。
① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
② 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
③ 業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合
この場合の変更の届出の期限は、その変更に関する株主総会等の決議をした日から1月を経過する日までに届け出る必要があります。
ただし、その変更前の事前届出給与の支給の日(その決議をした日後最初に到来するものに限ります。)が上記の1月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日が提出期限となります。
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
今日はとある契約をしに、神楽坂まで。
中学高校時代、野球部の練習用ユニフォームを着て早稲田通りから皇居まで走ってこの街を通過していました(^_^;)
武道館の前で腕立て伏せ、腹筋などの筋トレメニューをこなし、皇居周辺では外国観光客に写真撮影されたことを思い出しました。
------------------------------
※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。
また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。
------------------------------