絵画などの美術品は減価償却費として会社の経費にすることはできるのか?

税金
■スポンサードリンク

美容室や飲食店では、インテリアや内装などは、お客様に魅力を感じてもらう大事な要素の一つです。私の行きつけの美容室には、素敵な絵画が飾ってあり、お店のセンスの良さを引き立たせています。そのような絵画の購入費用ですが、お店の経費とすることができるのでしょうか。

DSC_0737 1 (2)

※ HAIR DESIGN ATELIER MIUにて

1点100万円未満の絵画などの美術品等

減価償却資産として減価償却費を経費にできる

1点100万円未満の絵画などの美術品等は、原則、減価償却費として損金(会社の経費)にすることができます。

個人事業主の場合も、お店のインテリアにするなど事業のために使っているのであれば、減価償却費を必要経費とすることが出来ます。

耐用年数は、耐用年数省令により、以下の通り定められています。

(1) 室内装飾品のうち主として金属製のもの……… 15年
例えば、金属製の彫刻

(2) 室内装飾品のうちその他のもの………………… 8年
例えば、絵画・陶磁器・彫刻(主として金属製のもの以外のもの)

<具体例>

image

 

なお、中小企業者であれば、1点30万円未満の美術品等については、購入した年度にその全額を経費とすることができます(2022年3月31日までに取得し、事業の用に供したものに限ります。)。

1点100万円未満というその金額はどう計算するのか?

ここでの1点100万円ですが、その絵画などの美術品等の値段ではありません。その絵画などの美術品等がインテリアとして飾られるまでにかかったコスト(付随費用)をすべて含めた取得価額で判定します。

したがって、絵画などの美術品等の値段の他にも、額縁や引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等が含まれますので、注意が必要です。

1点100万円未満でも減価償却できないもの

1点100万円未満でも、下記のものについては、減価償却資産とすることはできません。

  • 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
  • 高価な素材が大部分を占めるような小型の工芸品のように、素材の価値がその美術品等の価値の大部分を占めるようなもの

2015年度税制改正により、減価償却できるようになった

上述した美術品等の税務上の取扱いですが、2015年度税制改正により、定められたものです。それ以前は美術品等については、時の価値により価値の減少しないものとして土地と同じように減価償却しない固定資産として計上されるのが通例でした。

2015年度税制改正により、2015年1月1日以降に取得した美術品等について、上述した取扱いが適用されます。

ただし、経過措置が設けられており、2014年12月31日以前に取得した美術品等については、2015年1月1日以後最初に開始する事業年度に限り、その取扱いを減価償却が可能な資産に変更することが可能です。その事業年度において取扱いを変更しなかった場合には、従前の取扱いを継続することになります。

(この記事を書いている時点では、10月決算、11月決算の会社であればまだ間に合いますが、それ以前だと間に合いません…。)

1点100万円以上の絵画などの美術品等

原則、減価償却できない

1点100万円以上の絵画などの美術品等は、減価償却できません。その価値は、時間が経っても減少しないので、経費にはできないという考え方です。この100万円という基準ですが、美術品として市場から一定の評価を得られるのは100万円以上のものという専門家の意見を踏まえて、決められたとのことです。

時間が経つと価値が目減りするようであれば減価償却できる

ただし、100万円以上でも、時間の経過とともにその価値が目減りする美術品等については、減価償却が可能です。例えば、次の事項のすべてを満たす美術品等がこれに該当します。

■スポンサードリンク
  • 会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。
  • 移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。
  • 他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。

上記は法人税法基本通達7-1-1に記載の例示ですが、この例示に該当しないものについては、こちらの例示を参考に判断する必要があります。

まとめ

以上の内容をフローチャートにすると、下記の通りです。

image

なお、減価償却資産にしたときには、償却資産税の対象になる点もご留意ください。

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

2015年度税制改正ということで、旬を過ぎたテーマではありますが、「絵を買ったけど経費にできる?」という素朴な疑問に答えるため、記事にしました。

というのは建前で、本当は、HAIR DESIGN ATELIER MIUの絵が素敵だったのでブログに載せたかったからです。ブログへの掲載に快諾してくれたオーナーの三浦さん、ありがとうございます!

【昨日の一日一新】

近所のイタリアン料理のお店でランチ

------------------------------

※この記事は、投稿日現在の状況、法令に基づいて書いています。

また、ブログの内容等に関する質問は、受け付けておりませんのでご了承ください。

------------------------------

タイトルとURLをコピーしました