会社経営者であれば、事業年度終了後の法人税や消費税の支払に痛い出費と感じる方も少なくないでしょう。出来ることなら、税金は払いたくないとは思いますが、ただ、税金を払うメリットもあります。
税金を払いたくない!と思ってしまうその理由
物を買うとき、お金を支払って、その欲しいものが手に入ります。
肩こりや腰痛でマッサージなどのサービスを受けるとき、お金を支払って、体をほぐしてもらうというサービスを受けることができます。
お金を払うと、それと引き換えに物を手に入れたり、物を借りることが出来たり、サービスの提供を受けるといったように、お金と等しい価値のものを手にすることができます。
税金も同じです。国民が税金を払うことによって、社会保障制度の恩恵を受けたり、舗装された道路を歩くことが出来たり、子供が学校で教育を受けることが出来たり、警察・消防・自衛隊といった民間ではできないような行政サービスを受けることができます。
しかし、税金の場合、例え払っていなかったとしても、行政サービスを受けることができます。そして、多く払ったからと言って、より多くの行政サービスを受けることが出来るかというと、そういうわけではありません。
事業を行っている場合、税金をたくさん払えば売上が伸びるかというと、当然、そういうわけではありません。税金を払っただけのメリットを感じづらいのが税金を払いたくないという気持ちにさせるものなのでしょう。
嫌な税金でも払うメリットはある
お金が貯められるのでいざという時の備えになる
会社がお金を貯めるには、納税が必要です。利益が出れば、法人税が課税されます。例えば、利益が500万円出たとしましょう。法人税等の税率は30%と仮定すると、
500万円×30%=150万円が法人税等として課税されてしまいます。
しかし、残りの350万円は、会社の財産として貯めることが出来ます。
税金を払いたくないからとって、500万円、無理して使ったらどうでしょう?確かに、税金は発生しなくなりますが、お金を貯めることもできません。
会社がお金を貯めなかったら、どうなるのでしょうか。アリとキリギリスの話では、冬がやってくると、貯えのないキリギリスは飢え死にしてしまいます。会社も同じです。常に景気がいいとは限らず、良い時もあれば悪い時もあります。冬の時代がやってきたときに、それなりに耐えうる体力をつけておくには、税金を払って貯めるということも必要なのです。
それでもやっぱり税金を少なくしたい、というときには、会社の将来へ向けた投資にお金を使うのがお勧めです。研修費で教養を養ったり、従業員賞与で従業員のやる気をUPさせたり、企業防衛に必要な保険に加入したりと、必要なことに使うようにしましょう。
仕事にあまり関係しなさそうな飲食代や過剰な保険、効果が見込めなさそうな広告など、無駄なものにお金を使うと、お金が残らないし将来の収益獲得にも繋がらないという結果になりますので、注意が必要です。
金銭感覚や節税の知識が身につく
会社で1億円のお金を10年で貯めるには、1年あたりの利益(税引前)はどの程度必要になるのでしょうか。
単純に計算すると、1年あたり1,000万円あればと思ってしまいますが、それでは足りません。法人税等が利益の約30%かかりますから、1年あたり1,000万円だと貯められるのは700万円です。
税金のことを考慮するとなると、税引き前で1,400万円強の利益を出さないと年1000万円貯めることはできないのです。
税金を払う経営者の立場になると、税金を意識することで、この感覚が理解できるようになります。また、ルールの範囲内できっちりと節税をするという意欲も高まりますから、節税の知識も身につけることができるようになります。
寄附金制度を利用して税金の使い道を選べるようになる
税金の使い道は、払っている本人が決められるものではありません。ですから、働きの悪い政治家、無駄な公共事業、横領している公務員のニュースが流れると、税金を払うのが嫌だなぁと感じることもあるでしょう。
ただ、個人の場合であれば、納税額が多ければ多いほど、寄附金制度を使って、自分の意志で税金の使い道を選ぶことができます。
その代表格がふるさと納税です。自己負担2,000円で、自分が応援したい地方自治体に納税することが可能になります(制度上、寄附金という制度ですが、実質、居住地への住民税を減らし、応援したい地方自治体へ住民税を納めているのと同じ)。
最近は、返礼品が魅力的になっているので、応援したいというよりも、お得だからふるさと納税をするという風潮になっている面は否定できませんが、いずれにしろ、地方経済の活性化という面では悪くはないのではないかと思っています。
ふるさと納税のほか、日本赤十字や、大学、認定NPO法人、学術機関などへの寄付金についても、寄付金控除制度により所得税や住民税を受けることができます。これも、所得税や住民税を減らして、自分の意思で社会貢献に役立つものへの寄附をするということで、自分の望む使い道を選んでいるのです。
税務調査が怖くない
税金を払いたくないということで、売上を抜いたり、架空経費を計上するなどの脱税を行うと、罪悪感が残るばかりか、いつか来るかもしれない税務調査が怖くて仕方なくなります。悪意のある脱税は、重加算税や無申告加算税などの多額のペナルティーが課されるほか、場合によっては刑事罰を受ける可能性もあります。
そこまでの悪いことはしていない、でもプライベートの支出をちょっと混ぜちゃって税金を減らしている程度といった場合も、やはり税務調査が入ると不安に襲われます。そして、税務調査で追徴課税を受けてしまうと、確定申告での納税を遥かに上回る嫌な気分を味わうことになってしまいます。
適切な節税にとどめ、必要な納税を行っていれば、税務調査は怖くありません。多少の間違いや見解の相違程度で課税されることはあるかもしれませんが、その程度であれば会社への打撃も軽微です。やましい気持ちになる必要もなく、堂々と税務調査に臨むことができます。
まとめ
税金は払いたくないなぁ、と思うのは、普通の感覚です。元税務調査官でさえも、独立して開業税理士になると、「税金高いなぁ」とぼやいています。
嫌な税金だからこそ、精一杯節税に取り組んでみたり、税金の使い道を自分で選んでみたり、税務調査があってもビビらずに堂々としてみたりと、税金を払うことで何か自分の役にたってはいないか?と前向きに考えてみましょう。手痛い支払だからこそ、うまく税金と付き合うことが必要なのです。
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【編集後記】
3月決算で忙しい日々が続いていましたが、何とか今週で目途がつくのではないか?というところまで来ました。
4~5月と新しいことに取り組む余裕がなかったのですが、6~7月で新しいことを始めたいと目論んでいます。
【昨日の一日一新】
弥生のとある機能
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